「2兆円」が世に出ていくちょっと前のこと

僕の1st Album「2兆円」は、昔から僕の音楽を褒め続けてくれていたスカート澤部さんを筆頭に、沢山の方の口コミがきっかけとなって、ラジオでも取り上げていただいたり、全国版の新聞にもレビューが載ったり、ゴッチさんが私設した新人賞APPLE VINEGAR AWARDにノミネートされたり…ありがたいことばかり起きている。それらは僕にとってもまったく予期していなかったラッキーの連続で、ほんとうにありがとうございますと何か起こるたびに感謝している日々だ。

先日告知した5/8(火)渋谷WWWでのツアーファイナルも決まったし、今後もすごくいい流れを作っていけそうで嬉しいな。そう思いながらふとこれまでの歩みを辿ってみたら、何の苦労もなく突然ラッキーが降り掛かってきてる訳でもないな、という気分になった。今日は2兆円が広まって行くちょっと前のエピソードを少し書いてみようと思います。

 

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「2兆円」の発売日は、全国的には2017年の11月22日だけれど、本当はもう少し前に販売が始まっていた。

ジャケットのアートディレクションをしてくれた唯さんの個展「遊泳グラフィック」にて、Allright Music発足のためのコーナーを作ってもらい、会場限定で先行販売を実施したのだ。一ヶ月間の会期は9月19日からだったので、ちょうど半年前。まだ夏といってよいような、半袖でも暑いくらいの時期だったのを覚えている。

 

(展示内容とかはSNSで #遊泳グラフィック を検索すると沢山でてきます。)
※一部写真はG8の公式ツイッターより

 

 

 

僕はその夏、7月から8月にかけて猛スピードで駆け抜けるようにレコーディングをし、ミックスマスタリングを終え、それと併行して印刷物や盤の入稿を済ませ…そういう諸々にわたる実務をうまく切り抜け終えたところで、達成感でいっぱいだった。サウンドもビジュアルも申し分ない。すごく良い物ができた。いい仕事をしたぞ。終わったぞ…!!身体に慢性的に溜まっていた薄い疲労感もすこし誇らしいくらいだった。

 

だが、この満足感というものはすぐに打ち砕かれることとなる。展示スタートとともに先行販売をしてみたものの、売れ行きが芳しくないのだ。8,000人ほどの来場者が予想されていて、展示の中にスペースをしっかり貰っていて、試聴機も置いてあって、すごくいいコンディションのはずなのに、確かにちょいちょい買ってもらってはいるものの、期待したほどには全然売れていかない。

 

焦って会場に行ってみると、僕のCDがあることすら気付いてなさそうに帰っていくお客さんも居て、結構ショックだった。これは眦塚E検嵳訓縫哀薀侫ック」だ。お客さんは唯さんの表現を観にきていて、ところせましとグラフィックが満ちているこの濃密な空間で夢中になっているんだから、名前の知られていない新人の、しかもCDなんて、ハードルが高いのかもな。…まぁ仕方ないか。中身はいいんだからそのうち売れるよ大丈夫。当時はそんな風に思った。ひとまず、今回は気付いてくれた人に感謝していって、そうじゃなかった人はまあまたの機会に気付いてちょうだいね。そう念じながら物販カウンターの後ろの方でひっそりと会場を見守っていた。

 

そんな展示の会期も半ばにさしかかったある日のこと。「目標通り売れないと、そのあとのツアーとか行けないからね。」Allright代表の舞さんにそう通告された。ビックリした。あっそうか!…制作でけっこうお金使ってるし、もともと資金が潤沢にあるわけじゃないし、このCDをちゃんと売って収入を得ないと次の動きもなにも実現しないのか…。”会社の中にレーベルを作って事業としてそれを運営していく”ということの本当の意味を、この時にようやく気付かされた。(遅いな!)

 

その時点で残された時間は1週間くらいしかなかった。もっと買ってもらわないとこの先がない。やれることはすべてやり切らなければ達成はありえないだろうなと覚悟を決めた。行ける日は平日でも会場に行って、人がそこそこ集まったらゲリラ弾き語りミニライブを始めて、物販カウンターではジャケット写真そのままの格好をしながら「このCDもすごくいいんですけど、一緒に買いませんか?」とお客さんに問いかけ続けた。


中身はいいんだから損したなんて思わないはずだという自信はあった。ノリでとか、試聴して良かったからとか、買ってくれる人もちゃんと居てすごく嬉しかったし、反対に、あっ私はいいです〜と断られることも、初めはショックを受けたもののすぐに慣れた。気付かないまま帰られるよりも、「あの人にCD薦められたけどわたしは断った」という記憶を刻んでおくことが絶対に大事なのではないかというポジティブシンキングも獲得し、おれは2兆円薦めマシーンになるのだと言い聞かせながら過ごしたラストデイズだった。遊泳グラフィックにてなんの前情報もなしに2兆円を買っていただいた方々、あらためて、本当にありがとうございました。

 

結果的には、そこまでしても、目標には届かなかった。(なんとかツアーはできた)。目標設定がどうのと慰めることもできたけれど、自分で決めたことが達成できなかったという事実は自分の中に深く刺さった。もっと早いタイミングで同じように動けていれば、出会えた人がもっと居たかもしれない。くっそー。いい作品ができましたということだけでは、広がっていかないのだ。作品をしかるべきところに運んで、いろんな人の耳にどんどんねじ込んでいかないとダメだ。それができない限り、音楽家として仕事して生活を続けていくことはできない、ということを痛感した一ヶ月だった。

 

その反省をふまえて、その後はとにかく会う人会う人すべてに僕がやっていること、2兆円のことなどを紹介するようにし、是非聴いてくださいそしてよかったら感想を下さいと、息をするのと同じような自然さでそういうことを常に差し挟んでいくようになった。とりあえず出会って聴いてもらわないと何も前にすすまないから、作品の良さを信じて広め続けようと。

 

そういう姿勢の変化があった先に、冒頭に述べたようなラッキーの連続が起きた。だからラッキーは無差別じゃないなという気持ちがある。ああ、ちゃんとやればどこかから返ってくるんだなという実感がどんどん立ち上がってくる。僕自身がピュアに楽しんでいれば、そうした目に見えないなにかからの応答が今後も必ず起き続ける。そんな気がするのです…。


さて、5/8(火)の2兆円ツアーファイナルも、そんな話の延長線上にあるわけですけれど、ちょっといっぺん、観てみようかななんて気になってきませんか…??きましたよね。はい、チケットこちらから購入できます☟

 

★5/8(火)「2兆円ツアーファイナル」
[場所]渋谷WWW
[形態]バンド (Ba.池上加奈恵/Dr.あだち麗三郎)
[時間]19:00open/19:30start 
[料金]前売3,000円+1D/当日3,500円+1D
[共演]スカート

 

ゲストアクトは澤部さん率いるスカートだし、レコーディングからとても尽力してくれたDrあだち麗三郎さんとBass池上加奈恵さんに支えられてるバンド編成のサウンドも、ほんとにとっても良いです。身体で感じにきてほしいと思ってます。どうぞよろしくね!!!!