第5回 オールライトインタビュー

 

第5回  オールライトインタビュー

 

オールライトインタビュー!
今回はAllrightの取締役兼アートディレクターの高田唯さんにインタビューしました。デザインについて、今の時代について、お仕事について、生活について、色々とお話を伺いました!
 
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──まずはデザインについて。ゆいさんの世代は、巨匠と呼ばれるようなアナログ時代の方々の仕事を間近で見られる最後の世代であり、インターネット世代の若者とも話が合う、今の日本の真ん中の世代であるように思っています。また、JAGDAやTDCなど、日本を先導するデザインを審査する立場でもありながら、東京造形大学の教員として学生の作品にも触れており、日々様々なデザインを見ながら生活されているな〜と思うのですが、今いちばん関心があるのはどの世代のデザインですか?
 
さすが(笑)。いい質問ですね。既に亡くなっている方のデザインは更新されることは無いけれど、これまでの日本を引っ張ってくれた方のデザインを見ると、やはり今でも新たな発見があります。だけど世の中には常に新しいものが生み出されているので、過去のデザインにはどうしても視覚的に限界があるのかなとも思っています。本当にたくさん見てきましたし。同世代や僕達より若い世代の人たちに関しては、デザインの表現というよりは動きかたの方が気になるかな。未来の働き方とかを若い人がどう考えてるかを知りたいかな〜。興味はそっちにありますね。
 
──ゆいさんは普段のお仕事でも様々な年齢の方とご一緒されていますね。例えばイラストレーターの方など、特に若い人の才能を見つけるのがすごく上手だなと思っているのですが、インターネットが発達し、様々な作品があふれる中で、作品の相性が合う作家さんはどうやって見つけているのですか?
 
鋭いですね〜(笑)。なんだろうね、表現は違えど自然と見えてしまう部分があるというか、その人がどうやって形を追いかけているのかとか、どういう精神で線を引いているのかとかって一瞬で分かっちゃうんですよ。最近だとInstagramで新たな表現に出会うことが多いのだけれど、その人が何を大切にしているのかが形から、ストックのしかたから瞬時に察せるようになったんですね。それで自分の力量と限界も分かっているので、僕達が絡む事で相乗効果というか、かけ算みたいになるようなそういう表現にしていきたいなと思って、そういう事が可能だろうなと思う人達に声をかけています。やっぱり新しいものに僕自身が一番出会いたいし、意表を突かれたいし、そういう解釈があったかー!って感嘆したいんですよね。
 
もちろん最終的にはこちらが責任をもって形にしなきゃいけないから、人にお願いをするというのは見えない賭けのようで怖い部分もあるんだけれど、なんというか、この方だったらきっと大丈夫だろうなという事を見越しながらお願いしているかな。
 
──Instagramなどで作家さんを見つける時は、1枚でぱっと決まることが多いですか?
 
そうだね、まずは流れてきた1枚でぱっときて、それで他の作品を見てお願いすることが多いかな。Instagramは審査会だよね。みんなもそうだと思うんだけれど、今ってインターネットで〈良い/悪い〉を瞬時にジャッジできるようになってるよね。だからもう、みんな審査員だなという感じがするし、そういう意味ではむしろ若い人の方がきっと目利きが多いんじゃないかなと思っています。だからデザイン関係の審査会場にも若い人を引っ張っていきたいなと思っていて。若者を増やして審査の基準を新しくすることで、予想外の作品にも票が入るようにしたいなと思っています。
 
大学で教員をしていて若い子達を見ている分、そういうところに目が行きやすいのかもね。若い人達はどういうところに興味の目が行っているんだろうとか、誰のデザインが好きなんだろうとか、どうしたって知っちゃうよね。最近では東京造形大学のパンフレットのイラストを学生にお願いしたり、大学案内も在校生や卒業生にお願いしたりとか、そういう未知数なところに賭けたいと思ってるかな。経験値がなくても作品がよければサポートしながらやれば良いものは絶対にできる。予想が出来ない方がやっぱり僕はわくわくするし、お願いされた方もドキドキしてくれるだろうし、新たな発見にも繋がるから、どちらにとっても新鮮で良いなと思うんだよね〜。
 
とにかく見てるんだよね、新鮮で純粋な表現を。どのぐらいの熱量なのかとか、どこまで自分が作っているものに世界観を見出せているのかみたいな所を期待しているんですよね。醗酵具合をみているというか。
 
──醗酵具合!
 
うん(笑)。どれぐらい表現を醗酵させているのかというか。どれぐらい熟成されているのかというか。出だしの頃は浅漬けのような感じで、浅漬けの良さもあるんだけれども。でもやっぱり熟してきた時の、より深みが出てコクが出てみたいなところを常に観察してる。だから大学では学生のぬか味噌をコネコネしている感じかな。まだまだー!浅い浅いー!みたいに(笑)だから我々世代以降の人たちに期待をしています。自分達より上の世代の人でも、特に永井一正さんは毎年とても実験的なことをしているなと思うし、今でもずっと進化を感じているんだよね。すごいな〜と思って。上の人にももちろんそういう人はいるので、世代別というよりも牴燭を見つけちゃった人瓩鮓ています。でもやっぱり若者のゼロからの爆発具合はやっぱりすごい。赤ちゃんの成長のような、日々の爆発的な成長は見ていて気持ち良いな。手探り状態でやっている人はハラハラするけど、予想外なことが起こるのでどうしても目線は若い人に行っちゃうかな。
 
──お次は仕事について。ゆいさんは仕事のスピードがすごく速いですよね。作業に限らず打合せがすごくスムーズだったり、紙選びや企画の段階でも判断の速さに驚くことが多いのですが、どうしてそんなに速く判断できるのですか?
 
ははは(笑)。ノリだね。だって分かんないんだもん。迷ってたら一生かかるからね。
 
──昔から判断は速かったですか?
 
僕の場合は脳みその出来がよろしくないので、情報がそんなに蓄積されないというか(笑)。紙の名前もなかなか覚えられないし、ざらっとした紙だな、とか、ツヤっとした紙だな、とか、なんとなーく感覚で覚えちゃう。その感覚の中にもまだ余白があるというか。ピンポイント過ぎちゃうとその紙が使えなくなった時に焦っちゃうだろうし、テンションが落ちるだけだから、そういうエラーもよし、と思って受け入れられるようにしているかな。何しろグラフィックに自信があるから紙が変更になった所でやばいな…ってことには絶対にならないと思っています。正直、全部上質紙でもいいと思っちゃってるし…。
 
──おお〜!
 
うそうそ(笑)。Allrightでは絶対的な自信や安心感を蓄積してきたので、紙質がどうのこうのでは揺らがないです。もちろん、こだわれるんだったらより良いものを選びますけどね。

 


 
──Allrightは絶妙なタイミングで何かがやってくることが多いですよね。(本の仕様を考えている時に面白い加工技術を持つ会社の方と知り合うとか、展示のキャプションの話をしている時に突然文章が得意な人から連絡が来るとか。)
 
そうなんだよね。物でも技術でも人でもそういうことあるよね。やっぱりそういう偶然をきっかけにするし、ヒロキ(個展のチラシ等で詩やテキストを書いてくれた加藤ヒロキ氏)とかまさにそうじゃん。きっとこちらが常に何かを待っているんだろうね。こんな人いたらいいな〜とか、こんな技術あったらいいな〜とか。待っているからそういう時にそういう人が現れたり、そういう技術が現れたりするんだろうね。常に何かを待っているからやってきたものにすぐに反応できるし…Allrightはラッキーの作り方がうまいんだろうね。
 
──ゆいさんをはじめ、Allrightの人たちは関わってくれる人を一緒に楽しませたり、スタッフ全員をやる気にさせたり、いい空気を作るのが上手ですね。
 
そうだね〜。やっぱり少しでもマイナスのエネルギーで仕事はしたくないと思っていて。「こなしていく」という意味の仕事ではなく、もっと楽しめるようにと思っているので必然的にそうなっちゃうのかしらね。楽しいことが仕事になっていくのは素敵なことだと思うから、より良いエネルギーで作りたいなとはいつも思っているね。最初はそういうのを意識してやっていたけど、最近は馴染んできて素でやっているのかもしれないね。
 
──Allrightは普段、生活や暮らしに関する話題が多いですね。
 
そうだね。まあ結局は生活だよね。生活と仕事の境の話は以前したけれども、生活と仕事とがどんどん混ざっていかないと勿体ないというか。生活と仕事を分けたいと思う人が大半なのかもしれないけれど、やっぱりそれは勿体ないなと感じてしまって。
 
生活も仕事もどちらも人生なので、仕事にも私生活を持ち込んで欲しいし、私生活でも仕事に役立つことが起こる可能性だってあるから、それがもっと一つになって、どちらも豊かになればいいな〜と思っています。お笑い番組を見て、仕事でもこういう話し方をしたらもっと上手くいくかもしれないなとか思ったりね。全員がそうならなきゃいけないとは思っていないんだけれど、全部一緒にしてしまった方がいい気がしてならないんだよね。そういう発想をおすすめしちゃう。
 
──ベース教室に通うなどの活動も、生活と仕事のどちらにも繋がっていますね。
 
そこ触れちゃうんだ(笑)。ベース教室、面白いんだよ。先生と二人っきりで、自分はどういう生徒であるべきかとか考えたり。やっぱり自分は優秀な生徒でありたいわけじゃん、それで頑張ったり(笑)。そこにはいつもとはまたちょっと違う自分がいて、こういう自分もいたんだ!という発見があって面白い訳ですよ。
 
──この10年間で、Allrightはどのように変化していったと感じますか?
 
根っこはやっぱり変わっていないかな〜。でもAllright設立当時はまだ25、26歳だったから経験も無いし何も分からないまま立ち上げちゃってめちゃくちゃ失敗もしたし、怒られたし、嫌な思いも沢山させちゃったし…毎日猛省してましたね。いまだにそうですけど。あそこでこうしとけば良かったな〜とか、こういう言葉を使わなければよかったな〜とか、そういう小さい反省をちゃんと自分に言い聞かせて、次はしないようにしようと毎日反省しながら10年経った、という感じかな。これからも反省は続けていくと思うんだけど、より良いものを提供するために反省は必要だよね。もはや修行だよ。でもそれがどこかで楽しいのかもしれないね。ちょっとずつ克服していって周りのみんなが喜んでくれたりみたいなね。そういう日々の繰り返しだね。
 
若い頃は自意識過剰だったし、みんなが自分の仕事を見てるんじゃないかと勘違いしてスカしてたりもしていたけれど、そういうのも30歳を過ぎてくるとどうでも良くなってきて。表現を追いかけるだけじゃなくてもっと大きな話をしたいというか、デザインに限らず生活のことだったり、地球とか宇宙のことだったり(笑)。
 
──宇宙(笑)。
 
宇宙はウソだけど(笑)。今の世の中のこととか見てると、最後にはやっぱり気持ち的な豊かさが必要なんじゃないかなって。唯一それを満たせるものがデザインだと思ってるんですよ。グラフィックデザインとかじゃなくて、もっと大きな意味でのデザインね。その思想が空虚の穴を埋められるんじゃないかということを日々確信していますね。とはいえAllrightを設立してまだ10年なので、まだ道中ですよ。Allrightはこれからもどんどん変化・進化していくだろうし、1年先が読めないぐらい目まぐるしく変わっていくだろうね。
 
──2017年も変化がたくさんありましたね。
 
ほんとね、個展も2つあったしAllright Musicも始まったし、これから事務所の引越しもあるし。この10年でも色々な人が入社してくれたし、色々な人が興味を持ってくれたし、これから先もそういうミラクルが続いてどんどん面白くなっていくと思っています。
 
あとは10年やってきたという小さな自信みたいなものもあって、気持ちが裕福になったのよ。良い意味で力が抜けてきて、よりやりたいことが出来るなーと感じています。海外でも個展をやると思うし、さらに色々な事にチャレンジしていきたいです。今、Allrightは本当に成熟してきたなーという感じがしています。昔思い描いていた「こういう会社があるといいな」に大分近づいたと思います。むしろ超えているかも。
 
──先が読めなくて、これからが楽しみです。
 
そうそう、そうなんだよね。先が全く読めないんだけれどワクワクしか無いよね。どんどん若い人達に頼っていこうと思うので、今後も助けてください(笑)。
 
来年は海外でも日本でも展示をやるだろうし、京都でも展示に参加しますし、トークショーも色々やるでしょうし、そういう所でAllrightの話もすると思うのでぜひ見に、聞きに来ていただけると嬉しいです。あとは清丸もまたCDを出すし、たっしーも展示をやるし、舞さんもイチも力をすごい発揮してるから、それぞれが新しい力をさらに爆発させる激動の1年になりそうだね。色々な人を巻込んでいきましょう。なのでこのブログの読者のみなさまもAllrightに巻込まれてくださいね(笑)。
 
──ゆいさんありがとうございました!来年も楽しい1年になりそうですね◎
 
みなさま本年もありがとうございました。来年もAllrightをどうぞよろしくお願いいたします。
 

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